震災前の大洗海岸とクリスマス仕様のアクアワールド
2011年3月11日に起こった東日本大震災は、東北・関東の太平洋側のさまざまな土地を襲いました。陸前高田、荒浜、若林、大船渡、気仙沼、釜石、八戸……、ニュースで太平洋沿岸の地理に詳しくなった人も多かったと思います。そんな日々報道される地名の一つに、茨城県の大洗(おおあらい)がありました。
町が4メートル20センチの津波に襲われ住民が避難したという報道もありましたが、なんと言っても驚かされたのが大きく渦巻く海の映像の凄まじさ。
大洗沖どうなっちゃうんだろ、町は大丈夫……!?と被災地の中でも殊更この地域が気になっていたのは、2010年の冬、大洗町に遊びに行ってきたからです。日本有数の大型水族館、アクアワールド・大洗を見学したり、食堂で海鮮丼を食べたり、大洗海岸をぶらぶら散歩したり、……本当に楽しい旅行でした。良い思い出のある土地なので、地震と津波の被害があったという話にはとても心配していました。
不幸中の幸いで、大洗町では死者は一人も出なかったとのこと。また、アクアワールド・大洗も4月1日から無事営業を再開できたそうな。本当に良かったー。
今日は、大洗旅行で撮った写真の数々をUPしていこうと思います。
真夏にクリスマス時期の写真を、と季節感が合わないのはご愛嬌。
↑の写真に映っている建物は、アクアワールド・大洗のイルカショーなどが行われている大型プールです。見ての通り、太平洋のすぐそばに建つこの水族館は、2002年に従来の大洗水族館から海の総合ミュージアムとしてリニューアルされました。数々の水槽はもちろん、博物館を思わせるミュージアムゾーンや、フードコート、屋外デッキ、子供がよじ登って遊べる大型遊具、展望台、イルカショー等が催される大型プール、お土産物コーナーなど施設が充実しています。余談ですが、ちょうど地元の小学校の子供たちが描いた絵がずらっと展示されているコーナーがあり、「おっ、この子は上手いなー。とても小5とは思えない」とか「カラフルな絵で可愛い」、「子供らしい元気いっぱいって感じの絵だなぁ」とどれも微笑ましくて良かったです。
入場料は割引を使えたので1620円でした。正規料金は1800円とのこと。
ちなみに2010年の11月13日から12月25日までクリスマスバージョンの開催期間でした。私が訪れたのもちょうどこの時期だったので、クリスマス仕様の装飾や展示がたくさんあって楽しめました。
イルカやオットセイ等のショー
この水族館で一番印象的だったのは、イルカやオットセイ等のショーです。動物ショーはここ十年ほど疎遠だったので、ワクワクしながら見に行ったのですが、期待にたがわずとても楽しかったです。時間は20分くらいだったかと思いますが、あっという間に過ぎてしまいましたよ。時期に合わせて調教師さんたちはサンタクロース姿をしており、ショーのシナリオもクリスマスらしいものとなっていて、エンターテイメント性を高めようとする意識を感じました。
写真は、イルカが水面からロケットのように飛び出して高い位置にあるボールを叩いている場面。目の前で水飛沫をあげながらダイナミックにジャンプするイルカたちには心奪われたなぁ。しかも、私が見た回はノーミスでした。素晴らしい。可愛い上に賢いなんてイルカはなんて凄い生き物なんだ……!
それにしても、この広々とした太平洋が窓から見える大型プールの開放感は凄いものがある。
館内のお魚たち
クマノミ。映画『ファインティング・ニモ』を思い出す。
鮮やかな黄色が美しい。ゴールデンフライフィッシュだったかな。
ミュージアムゾーンにあったマンボウの皮。もっとツルツルしてるのかと思ってたけど、意外とゴツゴツしていて硬かった。
サメってつくづく鋭くて怖い顔してるなぁ。でも怖いけど格好いい。
悠々と泳ぐサメの後ろ姿。ブレずに撮れなかったのが残念。
ちなみにこの水族館ではサメの飼育に力を入れてるんだそうです。確かに、サメの水槽は多かったですし、入場券にもサメのモチーフが組み込まれたマークが記されていました。
闘魚のシャンパンタワー。それぞれのグラスに一匹ずつベタという名前の魚が入っています。ベタはタイで闘魚と呼ばれるほど闘争心が強いため、1つの容器に複数のオスを入れて傷つけあってしまうのを防ぐために分けて展示しているそうです。
裏方
お魚たちのエサの準備とかボイラー室(?)など、少し裏方部分も見せてくれたのが面白かったです。こういう、スタッフさんたちの働き方の一端が垣間見えるのって興味深いですよね。写真の白い貝は、よくラッコが叩いてそう。
展望より
水族館の展望台からは目の前の海が一望できます。お天気に恵まれた日でしたので、これぞ太平洋、という感じの雄大な眺めに出会えました。海も青くて空も青くて、素晴らしい。この水平線の向こうにはアメリカ大陸があるのかと思うと、ちょっとロマンを感じますね。
展望台から海とは反対方向の内陸の方を撮った写真。太平洋へと流れ込む那珂川、その上に掛かる真っ赤な海門橋が映っています。橋の奥に広がる市街地は、きっと河口近くだっただけに東日本大震災の津波被害は大変だったんだろうなぁ、と思うとなんか切ない。死者が出なかったのは本当に幸運でしたね。
おまけその1 大洗海岸
階段を下りて大洗海岸の浜辺に降りてみました。
12月なので当然だけど、めっちゃくちゃ水冷たかった……!!時期が時期だけにさすがにサーフィンしてる人は見当たらなかったものの、釣りをしている人はちらほらと見かけました。夏には海水浴客で埋まる人気のビーチだそうです。
大きく洗うと名づけられた海辺の町。「大洗」という地名には、大波が浜を洗うように打ち寄せるイメージが想起されます。日本各地の地名の由来を解説しているこちらのサイトによりますと、
地名は古く、856年、「文徳実録」に大洗磯前神社(おおあらいいそざきじんじゃ)とある。「おおあらい」は、波が砕け散る海岸に因み、太平洋の荒波がこの地を「大きく洗っている」ことからとする説がある。また「大荒磯(おおあらいそ)」の転とする説もあるという。
とのことなので、「大荒磯」に因む説もあるようですね。どちらにしろこの地名には波の激しさが託されているのでしょう。
しかし、私の行った日の海は激しさよりも穏やかさを感じました。ざぶーん、ざぶーん、と打ち寄せる波の音は心地よく、晴れ渡った空は美しく、冬の磯の空気は澄み切っていました。やっぱり海っていいなぁ。