長野と群馬の県境、碓氷峠


先月(2011年9月)のある日、突然「明日軽井沢に行く用事ができたんだけど、一緒に来る?」と人に誘われました。


なんて魅惑的なお誘い。

まだまだ続く関東の残暑にヘトヘトになっていた身からすると、風の吹き抜ける高原の避暑地なんて天国のようなものじゃありませんか。これはぜひとも行かねばなるまい。
というわけでローカル線と新幹線を乗り継いで行ってきました、軽井沢。



涼しいのかな、と予想していたんですが、実際はお天気の良い日だったため陽射しが強く、歩いていると汗が滴り落ちるくらい暑かったです。ただし関東ほど湿気はないし風は爽やかだったので、やはり過ごしやいと感じました。

軽井沢行きを誘ってくれた人はお昼過ぎまで用事があるとかで午後に落ち合う約束となりました。それまでは行き当たりばったりで旧軽を中心に一人ぶらぶらして楽しむことに。


観光バスに乗って碓氷峠

軽井沢駅から徒歩で旧軽までたどり着いたはいいものの、旧軽のお店を一通り冷やかした後はどうしようかな?と思っていたところ、軽井沢観光協会前のバス停から碓氷峠行きの観光バスが出ていることを知りました。せっかく長野に来たんだから山を眺めたい。乗車し、バスで細い山道を登ること約10分、碓氷峠に到着しました。

見晴台からの眺め


さっそく見晴台と呼ばれる展望公園へ。



山、山、山!
空は綺麗な青だし、山は濃い緑だし、素晴らしい眺めでした。
見晴台にはベンチと四阿が置いてある程度で、この景色以外に特に何があるという訳でもないのですが、とても気持ちのいい場所です。
「ヤッホー!!」と叫びたくなるなー。


軽井沢へは新幹線で来たのであまり山を登っているという感覚が無かったけれど、こうやって山々の連なりを見渡しているとやっぱり高いところに来たんだと感じます。なお、碓氷峠の標高は一番高いところで約1200mとのこと。



しかし、実はこの写真に映っている山々は長野の山ではなく、妙義山をはじめとした群馬の山々なんだそうな。



というのも、展望公園には、こんな看板が立っていることからわかる通り、碓氷峠は長野県北佐久郡軽井沢町群馬県安中市松井田町の境にあるからなんだそうで。いわば長野と群馬の県境、ひいては中部地方と関東地方の境。見晴台から見えるこの写真の景色は、群馬方面というわけなのです。ここは夕日の名所だそうですが、もっと時間帯が遅い夜になると遠く高崎の灯りが見えるんだとか。


古来よりこの旧碓氷峠信濃の国の入り口であり、江戸時代、中仙道を行く旅人たちにとって三大難所のうちの一つでした。霧深い山道をやっとの思いで登ってきて、峠の頂上から雄大な山並みを眺めた彼らの感動はひとしおだったんだろうなー。


見晴台の近くには現在でも力餅を食べられる峠の茶屋が数軒建っており、当時の様子が偲ばれます。


















分水嶺


私も訪れるまで知らなかったのですが、碓氷峠って単に県境にあるだけではなく、中央分水嶺なんだそうですね。こんな看板が立っていて、思わず興味深く眺めてしまいました。峠の長野県側に降った雨は信濃川水系となって日本海へ、群馬県側に降った雨は利根川水系となって太平洋へ流れるそうです。面白い。



熊野皇大神社熊野神社


見晴台から歩いて数分の場所に、日本三熊野に数えられる由緒ある神社が建っているので行ってきました。碓氷峠の頂上、長野と群馬の県境をまたいで建っており、昔は多くの中仙道を行く旅人が道中安全を祈願したんだとか。



面白いことに、ここは同じ敷地内にある一つの神社でありながら熊野皇大神社熊野神社という二つの呼び名があるのでした。参道や本宮を共有しているのに、敷地の長野県側では熊野皇大神社、また群馬県側では熊野神社と別々の宗教法人になっているためだそうです。社務所も賽銭箱も別々だし、御守りもおみくじも別々で売っていました。珍しいですよね。




苔むした岩。









ご神木の巨大なシナノキ。長野県の天然記念物で、樹齢約850年とのこと。


観光バス


ちなみに、碓氷峠と旧軽を結ぶ観光バスはこんな感じ(↑)の真っ赤な車です。


「この万平ホテルを作った万平という人は〜」
「ここは戦時中に昭和天皇のお母さまが疎開されたので、大宮御所って地元の人は呼んでるんですよ」
「ここがロイヤルロマンスが生まれたテニスコートです」
「峠の茶屋は、最盛期は60軒くらいあったそうですが、今は数がぐっと少なくなっちゃいまして〜」
などと、運転手の方は道中ちょっとした解説を加えながら運転してくれます。正直運賃は観光地価格だなーと思いましたが、このサービスは少し嬉しいかも。



観光バスの車窓からの眺め。


まとめ


碓氷峠はただ見晴らしのいい場所というだけでなく、さまざまな境であることによってとても興味深い歴史を背負った場所でした。おススメです。軽井沢に来た方は足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。