牛に出迎えてもらって鹿の湯に入る

夏休みを利用して、家族で栃木県の那須に行ってきました。
さすが避暑地として名高い那須高原。涼しくて過ごしやすかったなぁ。


あまりお天気には恵まれませんでしたが、田んぼの緑が綺麗な時期でした。


しかも、ちょうど私が行ったのがお盆とは重ならない時期だったせいか人も少なく渋滞も無く(あの赤松林の那須街道でさえ渋滞にあわなかった)、非常に観光をしやすかったです。温泉に入ったり、牧場で動物を見たり、美術館に行ったり、ソフトクリームやお菓子や美味しいランチを食べたり、アウトレットで買い物したり、などいろいろな場所を回って楽しんできました。



鹿の湯のレトロ感はたまらない


今回の那須旅行で一番面白かった&インパクトが強かった&非日常感を味わえたところは、那須湯本温泉共同浴場鹿の湯です。


歴史を感じさせる情緒溢れた木造の建築物といい、どこか鄙びた雰囲気といい、すっごく典型的な昔ながらのこれぞ日本の『温泉』、『温泉・オブ・ザ・温泉』とでも言いたくなるようなレトロな温泉でした。まるで明治時代あたりにタイムスリップしたかのような心地がしましたよ。那須関係のガイドブックには必ず載っている人気スポットなだけはあって、独特の魅力があります。うちの家人も大好きで、那須に来るといつも寄っているそうです。



いざ鹿の湯へ

鹿の湯は、那須塩原駅から黒磯駅方面へ行き那須街道を通って茶臼岳に向かって車を走らせると、茶臼岳山麓のロープウェイ乗り場の近くにあります。左の写真は、鹿の湯からすぐの無料駐車場にある看板です。


看板の脇にある階段を徒歩で下り、鹿の湯へ向かいました。











お初新道というこの階段を下りていると、だんだん硫黄の匂いが強まってきて、同時に川の流れる水音が聞こえてきます。温泉に来てるんだなぁというワクワク感が急上昇。


橋が見えてきました。ここまで来ると硫黄の匂いは頭がクラクラするほど強まってきます。



橋の上から上流の方を向くと、湯川をまたぐ形で建てられている鹿の湯の建物が見渡せます。



川に架かる渡り廊下。内部には自動販売機や洗面台、コインロッカー*1があり、湯上りの人々が思い思いにくつろげる場所となっています。



湯小屋。手前が女湯で、男湯は奥になります。雪景色が似合いそうな絵になる外観だなぁ。パンフレットによると、これらの木造の建物は明治時代に造られたものを補強して今でも使っているんだとか。道理で、風情が半端ない……!


橋の上から下流を向いて一枚。この湯川はどこに流れ着くんだろう?



橋を渡り終えると受付のある玄関が見えてきます。玄関は大正時代に造られたらしい。


足湯。お湯は白く濁っており、硫黄を豊かに含む強い酸性の泉質だそうです。確かに入浴後、なんだか肌がつるつるになった気がする……!

パンフレットによると、鹿の湯の開湯伝説は以下の通り。
7世紀前半、約1300年前の第34代舒明天皇の頃。狩野三郎行広が山狩をしていたとき、射損じた鹿を追って行くと、山奥の温泉で鹿が傷を癒していたという。
それが鹿の湯である。













玄関から見た橋。温泉街らしさが漂っていますね。近くには民宿がたくさんあり、長期滞在の湯治客は民宿から鹿の湯に通うそうです。

建物の内部もレトロで素敵です

受付では入浴料(大人は1人400円)を払い、ついでに入浴の準備をしてこなかったのでタオルを一枚購入し、女湯へ*2


女湯の赤い暖簾を潜り扉を開けると、むせ返るような硫黄の匂いと熱気とともに、すぐに湯煙の立つ湯船の様子が目に飛び込んできます。建物の構造的に、脱衣場より先に湯船を目にすることとなっているのですが、同性とはいえいきなり裸を目にするとちょっと面食らうものですね。
湯船、脱衣場、洗い場に隔ての無い造りには、開放的な印象を受けましたけども。


入浴施設ということで屋内では一切写真を撮らなかったのですが、湯小屋内部の造りや古めかしい下駄箱などもレトロで独特の味わいがありました。
ちなみに、数年前の冬にもこの温泉に来たことがある家人によると、その際は湯船に浸かっていたらどこからか雪がちらちら舞い落ちてきたそうで、古めかしい木造の湯小屋室内の様子と相まってその風情といったらなかった、とのこと。その話も頷けるくらい、雰囲気がある建物でした。


 湯小屋内部の様子が気になる方は鹿の湯のホームページをご覧ください。写真が載っています。


客層はどちらかといえばお年を召した方が多かったように思います。湯治客なのか常連の風格を醸し出している年配の方もちらほら。そんな中にも、お子さん連れの若いお母さんなどもいました。短熱浴推奨の熱い温泉だし小さい子にはちょっと大変なのでは?と思って見ていたら、その子は案外けろりとした顔で浸かっていたなぁ。

留意点
  • 高温なので湯あたり防止のため、かぶり湯や半身浴、入浴時間などに関して入浴の心得が定められています。複数の浴槽があり自分に合った温度の湯に浸かれるよう選べるので(女湯の場合は39〜44度でした。男湯は女湯よりも温度が高めらしい。)、私は41度のお湯に入っていました。気持ち良かったですよー。
  • それともう一つ、シャンプーや石鹸の使用は禁止されているというのがあります。湯上り後どうしても硫黄の匂いがとれないままになってしまいますし、自分も他人も石鹸で洗わないまま湯に浸かることになるので、その点はちょっと心配というか気になることもあるかと。

おまけ

那須塩原駅へは東北新幹線のやまびこで

ちなみに那須へは青と黄色の車体の新幹線Maxやまびこに乗って行ってきました。早朝に自宅を出発し、那須塩原駅にに到着したのは午前8時2分。
このMaxやまびこって初めて乗ったのですが、二階建てなんですね。それを知らずに1階の指定席を取ってしまい、乗車中窓の外には塀しか見えませんでした……く、くやしい。次回は調べてから行こう。








ホームはこんな感じ

  *3


ホームから見える田んぼが綺麗でした。那須を車で走っていると田んぼを見かけることも多いですが、どこもよく手入れされていて、この時期一面に広がる緑が瑞々しくて気持ち良かったです。



酪農のまち

那須塩原駅では二頭の牛さんが出迎えてくれます。酪農のさかんなまちなんだなぁ。黒い牛さん、ちょっとオシャレ。
  



駅の階段のところににかかっていた垂れ幕。
日本一ではなくて本州一とあるのは、やはり北海道に次ぐという意味なのでしょう。実際栃木県のサイトによれば、北海道の別海町中標津町標茶町に続いて、那須塩原市(旧黒磯市)は生乳生産額全国四位らしい。酪農が盛んな理由としては以下の4点をあげていました。

  • 首都圏という大消費地に位置していること
  • 豊富で良質な水や肥沃な大地、穏やかな気候などに恵まれていること
  • 特に、那須地域など火山灰土壌で冷涼な気候が酪農に適していること
  • 何よりも、品質の高い牛乳を提供しようとする酪農家の意欲が高いこと

なるほど。こういうの見てると、美味しい乳製品をいっぱい食べるぞ!という気が沸いてきちゃいますね。


駅前でレンタカーを借り、那須塩原駅を後にしました。



まとめ

もし昔ながらの温泉が苦手でなければ、鹿の湯は楽しめる場所だと思います。硫黄臭も白濁したお湯も温泉に入った!という満足感を与えてくれますし、芯から暖まると気持ち良いしね。何より建物の雰囲気が心地良く素敵です。那須に行ったら一度は行ってみるといいかも!

*1:脱衣場にあるのは木製の籠なので、貴重品をお持ちの方はコインロッカーのご利用をお勧めします。

*2:タオルは1枚400円なので、用意していった方がいいかも

*3:この二枚は、東京方面へ帰るときホームから撮りました。