千光寺公園で君にメロメロン、そして夏の誘惑マンゴー
広島市内や宮島と並ぶ広島県の観光地、尾道。そんな尾道を見下ろす千光寺公園に行ってきました。
ここは「さくら名所百選」に選ばれているほど桜で有名な公園ですが、今回は緑豊かな夏の千光寺公園をご紹介します。
この公園は明治三十六年(1903年)、当時の千光寺の住職が尾道市にお寺の土地の一部4452平方メートルを寄付したことに始まりました*1。
現在は尾道を代表する観光名所です。
ロープウェーで尾道の上空を空中散歩
千光寺公園は千光寺山の中腹から山の上にかけて広がっています。
山自体は標高137メートルとそれほど高くないので、もちろん歩いても行けますが(実際私は帰りの降りは徒歩にしました)、行きはロープウェーで登ってみることにしました。
ロープウェイって凄く好きなんですよー!観光地に行ってあるとつい乗ってしまいます。なんだろうな、あのワクワク感は。
ロープウェイ乗り場は、尾道駅からだいたい徒歩15分くらいの場所にありました。
値段は大人1人で片道280円。
朝9時から夕方5時15分まで15分おきに発車しているので気軽に乗れます。
駅の窓口で切符を買い、エレベーターで乗り場へ。
目指すは千光寺山の頂上。山は夏らしく緑がいっぱいでした。
ご覧のとおり、山頂駅との距離は短く、乗車時間は3分程度とあっという間に到着します。
なんとその間、添乗員さんがついてくれて千光寺や尾道に関する解説をしてくれるんですよー!そんなサービスは期待してなかったから、ちょっとびっくりしつつ感心しました。
午前中の早い時間だったためか、私が乗った回の乗客は、5〜6人くらいでした。
意外と中は広かった覚えがあります。
ロープウェーの車内から撮った尾道水道と街並み。良い眺めだなぁ。
この写真は海側を撮ったものですが、目を転じると山側には赤堂という千光寺の朱塗りの本堂なども見えました。
山頂駅に着きました。中央の奥にうっすら見えているのが、尾道大橋とそれに平行して架かっている新尾道大橋(のはず。ぼんやりしていて二つの橋には見えませんが。)です。しまなみ海道の、尾道側の一番最初の橋ですね。
360度一望できる展望台の開放感
ロープウェイの山頂駅からすぐのところに、千光寺公園の無料展望台が建っています。
この白い建物は二階が冷たいジュースやアイスクリーム、ご飯を食べられる喫茶店(食堂?)となっており、屋上の展望台へ行くにはさらに螺旋階段を登ります。
展望台から西南の方角を向くと見える風景。
緑に囲まれているひときわ大きな建物が尾道市立美術館です。
広島出身の美術家の作品も数多く展示されている美術館で、設計が安藤忠雄氏らしくコンクリート製の大きな建物でした。
展望台からは尾道市街と、尾道水道、そして尾道水道を挟んで対岸となる向島が見渡せます。
天気の良い日には瀬戸内海の多島美とともに四国連山まで見えることがあるのだとか。
ちなみに私が行った日は充分天気に恵まれていた日ではあったけれども、残念ながらそこまでの遠景は望めませんでしたが。
こうやって高いところから見ると、本当に海と山に挟まれて東西に広がる尾道の細長さを実感しますね。「尾のように」とはよくいったもので、町全体が横たわっている感じ。
海や山もいいけれど、市街地の眺めも見てて面白かった。
山の斜面に沿ってなだらかに住宅の屋根が続いている光景とか、なんか良かったです。
尾道が坂の町と言われるのもよくわかるなー。
ただ、甍の街と聞いてはいたけれど、お寺の甍はともかく、さすがにそれほど甍の民家は見あたらなかったです。
ところで「向島」ですが、このように呼ばれるようになったのは室町時代中頃以降だそうで、語源はやはり尾道の向かいにある島だから、とのこと。
ではその前は何と呼ばれていたかというと、古くは「歌島(うたのしま)」というのが島の名前だったようです。
中世には大炊寮領歌島庄が置かれていたりもしたらしい*2。
そのまんまといえばそのまんまな「向島」の語源より、むしろ「歌島」の語源の方が気になるな。歌の島ってなんか素敵だよ。
船が尾道水道を行く!
それにしても山が幾つもこんもりしてて可愛い。
この展望台は凄く居心地が良くて、20分くらいぼーっと景色を見ながらベンチに座っていました。
そして楽しすぎてつい似たようなアングルで写真を撮りまくってしまった……。
そうそう、この展望台の二階には喫茶店があると先ほど書きましたが、ここのメニューで尾道丼というのがあり、食べてみるべきだったかとちょっと後悔しています。
尾道ラーメンは聞いたことあるけれど、尾道丼ってどんな食べ物だったんだろう?
やっぱり港町だけあってシーフードがのっているんだろうか。
旗の煽り文句が面白い
展望台を降りて、ぶらぶら尾道市立美術館の方へ歩いていたら、何やらツッコミをいれずにはいられない素敵な旗を多数発見しました。
「聖地」とはまたずいぶん大きく出たな!しかも「きみにメロメロン」て。
三つ並べるとちょっと壮観です。
お洒落な雰囲気をかもし出していたフランス料理店の前に並ぶダジャレ交じりの旗の数々。
「きみにメロメロン」もいいけど「夏の誘惑マンゴー」もインパクトもあるし語感的に捨てがたいな〜。
で、これらの旗は何かと思えばソフトクリームの旗だったのでした。
これらの謳い文句は、絶対楽しんで作ったんだろうなぁ。正直このセンス嫌いじゃないよ……!
文学のこみちを歩けば尾道に関する有名な文芸作品の一端に触れられる!
さて、千光寺山の山頂からは‘文学のこみち’と呼ばれる遊歩道を歩いて下りました。
文学のこみちはとても緑が豊か。リフレッシュできますよ!
写真のように、山頂から千光寺にかけて緑豊かな道が続きます。
山歩きとはいっても特に危険なところはないですし、ちょっとした散策気分を味わえて気持ちよかったです。
石碑を読みつつ山をおりる
ところでこの遊歩道、‘文学のこみち’というだけあって、歩くだけで尾道に関する有名な文芸作品の一端に触れられる!というおトクなコンセプトのもと出来あがっています。
尾道に材を採ったさまざまな文人による詩歌や小説の一節が刻まれた石碑が、道に沿って点々と立っているのです。
石碑の総数は25基。
傍には看板があり、出典や作者の生い立ちなどとともに、作者と尾道とのつながりを解説していました。
江戸から昭和に至る著名人の作品がたくさんありましたが、中でも特に私が気に入ったのがこちらの
覚えきれぬ島々の名や夏がすみ
という江見水蔭の俳句。
シンプルな中にも瀬戸内海の多島っぷりをうまく描写している感じがしてなんとなく好きだなぁと感じました。
休憩所が至るところに
千光寺公園のお勧めポイントは、ロープウェイがあったり、絶景の見れる無料展望台があったり、美術館があったり、お寺があったり、遊歩道があったり、などももちろんなのですが、休憩所が至るところに設置されていて観光客に優しい、という点もあげられると思います。
私が行ったのは、日差しも強く気温も高く、日中歩いているとダラダラ汗が流れてくるような日でした。ペットボトルもかなり消費しました。
なので、屋根つきのきちんとした休憩スペースが千光寺公園内の随所にあったのは本当にありがたかったです。自販機もちゃんと要所要所にあり、水分補給できてずいぶん助けられました。
お寺ということで年配の観光客も多いでしょうから、休憩したいなぁと思ったところに休憩所があるというのは、行き届いてるなぁ。小さなお子さん連れにとっても安心できる観光地といえるのではないでしょうか。
おまけ ロープウェイ山麓駅にお越しの方はぜひ艮神社へ
もし、行きでも帰りでも千光寺ロープウェイを利用するのならば、山麓駅のすぐ近くにある艮神社に寄ってみるのもいいかもしれません。
私は山麓駅を探している途中に境内に迷い込んだのですが、雰囲気の良い落ち着いた感じの神社でした。
見所は御神木の楠の大樹です。
県の天然記念物に指定されているそうで、確かにこの楠は凄かった!大きすぎてカメラに収まらない……!