路面電車とフェリーに乗って、いざ宮島へ

ちょっと時間が経ってしまいましたが前回まで続いていた尾道を離れ、今回は広島県の南西部、瀬戸内海に浮かぶ宮島について書いていきます。



宮島は、正しくは「厳島」と言い、「宮島」は通称なのだとか。
古来より「神宿る島」であると島自体が信仰を集めてきました。世界文化遺産である厳島神社のある島として名高い広島県を代表する観光地であり、日本三景の一つとして数えられています。周囲約30キロメートルのこの島には、鹿や弥山、もみじ饅頭、焼き牡蠣など厳島神社の他にもたくさん見所がありました。

路面電車に乗って広電宮島口駅へ!

まずは広島駅から宮島までのアクセスについて。

広島には路面電車が走っている

出発点はJR広島駅です。



広島駅で食べたお好み焼き。


JR広島駅のすぐ目の前に広島駅電停という広島電鉄の停留所があります。
ここから広島電鉄路面電車に乗って広島市内を横切り、宮島対岸の宮島口桟橋へ行き、桟橋からフェリーで宮島へ渡る、というルートで行ってきました。


そう、広島市内では路面電車が頻繁に運行されており、市民と旅行客の足として活躍しているんですよね。最近は少子高齢化社会に備えるため全国で路面電車の有効性の見直しが始まっているとの話もちらほら聞きます。確かに、移動手段が車でない人にとってこれは本当に便利!広電の場合ルートは8系統、だいたい7〜10分おきくらいに来るのでとても使いやすく、旅行中は利用しまくりでしたよー!



市内を走る宮島口行きの路面電車の写真。



広島駅前で撮った路面電車の写真。行き先は広島港のようです。余談になりますが、宮島へは、宮島口からだけではなく、広島港からもフェリーが出ているみたい。



車両はさまざまな色があるみたいですね。
周囲の自動車も慣れているのでしょう、特に混乱も無くすいすい走っています。
路面電車に乗るのも初めてなら、見たのも初めてでしたので、本当に道路に電車が走っている新鮮な風景にはわくわくしました。


広電に乗って宮島対岸の宮島口へ


というわけで、広島市内から宮島口へ行く際は広電(広島電鉄の愛称)を利用したのですが、そのとき役に立ったのが、広島駅電停で購入した有効期限2日間のフリーパスでした。これは、

  • 広電全線乗り放題のフリー乗車券
  • 宮島口と宮島を結ぶ宮島松汽船の往復乗車券
  • 宮島ロープウェー(宮島には弥山という山がありロープウェイで登れるようになっています)の紅葉谷駅と獅子岩駅を結ぶ往復乗車券


の三つの機能が一体型となったカードです。
値段は2000円。宮島ロープウェイを利用し、広島駅電停と宮島口を広電で往復する場合、このフリーパスは通常よりも680円お得になるんだとか。いちいち乗車券を買わなくて良いので、手間という観点から見ても使える乗車券です。



さて、広島駅電停から路面電車に乗ること約一時間。

窓の外には海が見えてきて、

広電宮島口駅に到着しました。



降車してみると、私の乗ってきた車両は早くも行き先表示を広島駅にしていました。すばやいな。


宮島口に着いた!

座りっぱなしだった身体を伸ばしつつ駅から出ると、いよいよ宮島口桟橋です。
  
すぐ傍に海が見えました〜!ワクワクしてくる!おおぉ〜!フェリーも泊まっている!
私の乗るフェリーはまだ出航までに15分くらいあるとのことなので、近くの土産物屋さんや海岸線をぶらぶらしつつ海や船を見たりして時間を潰すことに。



宮島口には、いろいろな船が発着している。



朱塗りで神社建築っぽさを醸し出している桟橋。やっぱり厳島神社を意識しているのでしょうかね?


宮島口を離れ、いよいよ船が出発!

乗船開始時間になったので、さっそく船に乗り込みました。いざ出航!



せっかくですから、眺めの良い3階へ。
特徴のある朱塗りの桟橋が見えました。
背後に移っているマンション、海を見渡せるなんて凄い立地だな。



瀬戸内海の色。やや緑がかっている。




陸地がどんどん離れていきます。潮風が気持ち良い。


宮島の桟橋に到着!


宮島口から宮島桟橋までは、10分ほどの船旅となります。その間見えるのは一面の海と山でした。



だんだん島に近づいてきました。
神の島、厳島。ワクワクしますね





宮島に上陸しました!




宮島の玄関口。開放感があって雰囲気が良いです。日差しが強くて、凄く暑かった覚えがあります。
このあたりでは旅館の送迎バスに乗り込む団体客をよく見かけましたが、今思えば、私も宮島でお泊りというプランを立てても良かったかも(実際は広島市内で一泊した)。結構旅館もあるみたいだしね。





参道へと続く広場の様子。海岸線に沿って松が植えられており、なんとなく白砂青松という言葉が頭に浮かびます。この道をぶらぶら歩いて観光客は厳島神社へ詣でるのです。


あえて人が少ない瞬間を狙って写真を撮っていますが、実際はもっと大勢の人々で賑わっていました。厳島神社をはじめ弥山の原始林など島の14パーセントが世界文化遺産に登録された余波なのか、中国人や韓国人と思しきアジアン系、家族連れやバックパッカーっぽい欧米人など、外国人客もたくさん見かけましたね。意外なところでは、タイのお坊さんっぽい黄土色の僧衣姿をした坊主頭の集団もあり、宮島が外国でも観光地として認識されているんだなぁと案外豊かな国際色に驚きました。



おみやげもの屋さんも道沿いにあります。


また、一本道を入ったところに海岸沿いよりもさらに賑わっている商店街のような仲見世通りもありますので、そちらを覗いてみるのも楽しいかと思います。広島名物がたくさん並んでいて店頭を見るだけで時間があっという間にたってしまいます。焼き牡蠣を食べたり、紅葉饅頭を食べたり、絵葉書セットを買ったりしました。





もみじまんじゅうは、島中の至る所のお店で売っていますので、いろいろ自分にあったものを探してみるのも楽しいかも知れません。


宮島の鹿はプロのポーズモデルも顔負け

さて、宮島にはたくさんの鹿が棲息しているという話は有名ですね。宮島桟橋を出て目の前にある広場で、さっそく可愛い鹿さんたちに出会いました。

まずはドアップ写真を。おめめが眠たげ。



この自然豊かな島では、野生の鹿が厳島神社へ続く参道や山の中など、びっくりするほど頻繁に見かけます。どの鹿も野生とは思えないほど人馴れしていて、人間と密接に関わって生きてきた様子がうかがえました。
観光客にも大人気で、皆写真を撮りたがっていました。



背中の模様がくっきり出ていてラブリーです。



公道のど真ん中で大胆にいちゃつくカップル。オスがしきりとメスの耳を愛撫しています。メスも気持ち良さそうに目を細めており、満更ではなさそう。



いちゃつく二頭を別の角度から撮った写真。オスの角もご立派。


  


   
人馴れしているので、ポーズモデルも顔負けの悠々とした態度でカメラに収まってくれる鹿たち。





  


  
左の写真は、一匹狼のごとく、群れから少しはなれたところの木の根元で涼んでいる鹿。海が見渡せてとても気持ち良さそう。この子のように、看板だとか木の根元だとか、日陰で休んでいる鹿は多かったです。やっぱり鹿も暑かったんだなぁ。


ちなみに、戦前は宮島固有の鹿がいたけれど、第二次世界大戦で減ってしまったため、今宮島にいる鹿は戦後奈良から連れて来たのが増えたものだそうで、奈良の春日大社の鹿と無関係というわけでもないみたいですね。


宮島の鹿は神の使いとして大切にされている一方で、鹿の害に悩む地元の苦悩もあり、なかなか難しい問題を孕んでいるのだそうな。人にとっても鹿にとっても上手く共生できる解決の糸口がなんとか見つかれば良いなぁ。


この旅行に行く前は、鹿といえば奈良というイメージが強かったのですが、今回宮島にも野生には見えないほど人懐っこい野生の鹿っているんだ、と認識を改めました。


角の折れた鹿

ところで、いっぱい鹿さんに出会う中で、気になる一頭を発見しました。


私も近くに寄ってくるまで、全く気付いていなかったのですが、この鹿、よく見てみると角が折れているのです。ぽっきりと。

血のもはっきり見えるし、これは痛そう……!!



すぐにでももげて落ちそうなくらい、ぶらぶらと折れた角の先を揺らしながら歩くその姿を眺めながら、‘オス同士でメスを争ったときとかに怪我したんだろうなー、こんなに可愛い顔してるけど、鹿も激しい気性を出すときは出すんだろうなー’などと呑気に考えていたのですが。


そのとき、近くを通りかかった観光ガイドのおじさんが団体客に説明している声が耳に入りました。
「あの鹿ねぇ、血ィ出てるでしょう。あれ、角がまだ柔らかいうちに誰かに悪さされたんですわ。可哀想なことするもんや」


ええええええええええええ!!そうだったのか!!
人間の仕業だったんだ……!いやぁ、ホント残酷なことするもんだなぁ。可哀想に。
あの鹿さんの角、なんとか治るといいですね。

鹿戸

鹿を至るところで見かける土地ならではのものに「鹿戸」があります。建物の扉に、鹿が建物の内部に入ってこないように鹿除けを立てるんですよね。


中学の修学旅行で行った奈良にも似たような造りがあった気がする、と懐かしく思いました。


白砂青松の海岸線を行く


  



こんな感じで、鹿と戯れつつ厳島神社へ続く海岸沿いの道を歩くことしばし。
お待ちかねのアレがやっと見えてきました。アレですアレ。あの有名なアレ。


アレとは何か?答えは次回です。              つづく