やっぱり假屋崎省吾さんは凄かった

うり


ゴールデンウィーク中、近くまで行ったついでに埼玉県のさいたまスーパーアリーナで開催されている日本園芸フェスティバル〜ジャパニーズ・モダン 江戸の粋〜を覗いて来ました。
華道やフラワーアレンジメントはやったことがなく、素人もいいところなのですが、お花は好きなので楽しめるかな?と思いまして。


古典的な盆栽あり、坪庭あり、庭模型あり、現代的なフラワーアレンジメントあり、浮世絵あり、お花の雛壇あり、お花の売店あり、な催しでした。
開催期間は平成22年4月29日(祝)〜 5月9日(日) 午前9時0分〜午後5時0分。

以下、たくさんの素敵な作品の中で特に印象に残った作品について。



假屋崎省吾さんのピンク

今回の催しの目玉展示の一つに、華道家假屋崎省吾氏の作品があります。
それが、こちらのジャパニーズモダンのお庭です。



さすがと言うべきでしょうか、会場の中でもこの方の坪庭は格段に目立っていました。この写真だと全体像がつかめないのでなかなかその場の雰囲気は伝えきれていないのですが、もう本当に存在感が半端ない!とってもパワフルなんですよ。


特に印象的だったのは“色”です。基本的に濃緑と白がベースなのですが、そこにビビッドな色が挿し込まれていました。


庭には、人の背丈の数倍はあるような長いポールが、幾本も直立しています。その色は、花の色と合わせたのか、鮮やかなショッキングピンク。その目立つことと言ったら!


しかも点々と置かれた岩は金色に塗られてあるし。でも金色はあの空間の中にあって、違和感を放っておらず調和しているんですよね。


奇天烈なんだけれど、そのあっけらかんとした大胆さには、人を惹きつけるものがあると感じました。思わずこういうのもありかもと思わせるような力強さと説得力とでもいうか。


恐るべし假屋崎省吾


それと、假屋崎省吾さんの作品をはじめ、坪庭という展示方法がいくつか出品されていたのが良かったです。
写真のように、庭の中を鑑賞者が歩けるよう歩道が作られており、今まで絵画など平面の展示を見に行くことが多い私にとっては新鮮でした。立体的な作品の中を歩いて見て回れるってのは、面白いなぁ。




お花がたくさんの花壇

次は他の方の作品です。



まさに色とりどりの、といいたくなるような花壇でした。バランスよく色が配置されており、生き生きとして見えます。この中央にいくにしたがって花弁の色がグラデーションで淡くなる花、なんていう名前なんだろう?可愛いなぁ。赤が特に素敵。



いい花壇だ。自宅の庭にあったら楽しそうです。





お花の屏風

また別の方の作品です。これは本当に可愛い!!こういう華やかで軽やかな作風好きだなぁ。



屏風を飾る花や枝のバランスの絶妙さ、そして伸び伸びと空間を贅沢に使っている様子も素敵です。雛祭りに合いそうだな。乙女心(?)を刺激されます。



とても可憐な作品でした。






明星大学造形芸術学科の箱庭

テーマは「自然を範とした庭」だそうな。


20分の1の縮尺で、本物の植物を使い、本物と同じ工法で造られた庭が展示されていました。ちゃんとミニチュアになっている家や歩道も可愛いです。
器用だなー。こういうの見てるとハンドクラフトとかやってみたくなります。


明星大学の造形芸術学科の四年生と研究生による卒業制作だそうです。















スタイリッシュでハイセンス


格好良かったのがこちら。
吊り下げられる植物たち。峻烈な黒に映えて、ストイックだけどなんだか色っぽいですね。




巨大な苔のボール


苔に覆われた巨大な球体。高さは人の身長以上だったんじゃないかな。とても目をひく展示でした。市松模様の平面など、なんとなく作者の方の明るいユーモアを感じます。


















アクセス

会場への行き方について。最寄り駅であるJRさいたま新都心駅の改札を出るとすぐに、日本園芸フェスティバルの開催場所であるさいたまスーパーアリーナが見えてきます。



さいたまスーパーアリーナ近辺には、いかにも人工的で巨大な現代建築ばかりが建っています。あまり生活感のない景観だけれど、私はわりと好きです。

ちなみに、さいたま新都心については‘さいたま新都心10年 「関東の中心」になるはずが…’という記事がよく現状を描写していると思いました。

大型連休の初日。JRさいたま新都心駅東側地区の商業施設「コクーン新都心」は、家族連れやカップルでにぎわった。昼過ぎ、各レストラン前には入店を待つ行列ができ、1千台収容の駐車場は、ほぼ満車だった。

 対照的だったのが、駅西側地区。国の出先機関が入る合同庁舎周辺などは人影がまばらで、人出が目立ったのは、街びらき10年の記念行事が開かれていた「さいたまスーパーアリーナ」と、その周辺ぐらいだった。

私が行ったのは5月3日の午後でしたが、さいたま新都心では、まさにこの記事の通りの光景が繰り広げられていました。まぁ、駅の東側であっても賑わっているのはコクーン内部だけだったような気もするので、さいたま新都心が「関東の中央」になるためにはまだまだ課題は山積みみたいです。


まとめ

お花を使った表現はいろいろあるなぁと改めて思いました。日本的なもの、西欧的なもの、古典的なもの、現代的なもの、大胆なもの、繊細なもの、王道を感じさせるもの、異端を感じさせるもの……本当に多彩です。
作品自体も幅が広いのはもちろん、展示の方法もいろいろあるのが良かったです。
あまり園芸に縁の無い人でも、‘今の園芸業界ってどんなことやっているのか知りたい’とか‘ゆっくりお花を観てみたい’という方には良い展示会だったのではないでしょうか。


今回の展示会は、開催概要や協賛団体を見てわかる通り、どちらかといえば町興しの一環のような地域色の濃い催しだったみたいで、規模もそれに応じたものでした*1。個人的にもうちょっと展示数や出店ブース数が多い方が活気があって観てる側も楽しかっただろうなと思います。フェスティバルと銘打つわりには、かなり閑散としていたのが残念ですね。


とはいえ、素敵な作品を観ることができたのも事実です。お花に癒された休日でした。


おまけ

散歩していて見つけたお花の写真です。5月初頭は本当によく咲いていて綺麗だ。





私の住んでいる地域では、街路樹でよく見かけます。

*1:噂によると、集客が少なすぎて出店ブースに主催者側から詫び状が回ったとか……。