ハイセンスすぎてクラクラする

もう半年以上前のこととなりますが、今年(2010年)の1月末、テーブルウェア・フェスティバル2010〜暮らしを彩る器展〜に行ってきました。


一歩会場に足を踏み入れると、驚くほどの大盛況でした*1



テーブルウェア・フェスティバルは、器とテーブル・コーディネートの祭典です。


開催場所は毎年東京ドーム。海外の洋食器メーカーや日本全国の和食器メーカーなどはもちろん、プロの陶芸家、アマチュアのテーブル・コーディネーターなどたくさんの人々が作品を持ち寄り展示しています。


食卓という空間をどのように演出するのか、というのが腕の見せ所。
みなさん、器やテーブルクロス、ナフキン、カトラリーなどさまざまな工夫を凝らしていました。
素敵な作品ばかりで、とても楽しかったです。



豪奢な金と黒のコーディネート

広大な会場の中で特に目を引かれたのが、こちらの作品でした。
ビーズ刺繍デザイナーである田川啓二氏が手がけたオリエンタルな雰囲気のテーブルです。テーマは「内祝い」。



背景の壁にかかったビーズ刺繍も相まって、全体的に漂うゴージャス感と華やかさが素晴らしかったです。


やはり、漆器の黒に金という組み合わせは高級感を醸し出しますね。蝶々の形にセットされたナフキンもおめでたさを演出しており、晴れやかなお祝いの席に相応しいテーブルだなぁと思いました。こんな食卓で祝ってもらえたら凄く嬉しいと思います。



田川氏によるビーズ刺繍の着物も展示されていたのですが、その古典的な和とモダンを感じさせる華やかな刺繍には、確かにこの食卓と共通した感性がありました。





爽やかなグリーンとホワイトのコーディネート

白と緑色で統一されたこのテーブルも素敵でした。


洋風のコーディネートですが、意外なことに緑色のガラス製食器は江戸切子なんだとか。透明感があって綺麗だ……!


明るいエメラルドグリーンのカーテンや椅子なども含めて、全体的にとても爽やかで清潔な空間という印象を受けました。「緑のサロン」というタイトルもハマッてます。


それと、やっぱり色彩の統一感は大事だなぁとしみじみ思いました。同一系統の配色がなされていると、見ていて落ち着きますよね。


ところで、実はこの作品、芸能人の黒柳徹子さんが手がけたんだそうな。


仕事柄パーティなどの華やかな場に出席することも多いせいなのでしょうか、テーブルコーディネートが趣味の芸能人というのは黒柳徹子さんの他にも結構いるようで、今回の展示会では、俳優の石坂浩二さんや女優の紺野美沙子さんなども出品していました。







華やかなピンクと黒のコーディネート

こちらのテーブルのコンセプトは、「Bridal Shower−独身最後のガールズパーティー−」だそうです。
キャプションを読んだ瞬間、わあ!すごくぴったり!!と思いました。



細く絞ったような背の高いグラスなどアイテムもお洒落だし、目を引く鮮やかなピンクは可愛いし。
弾むような楽しい気持ちが伝わってくる華やかなコーディネートは、確かに女子会のワクワクとした雰囲気を連想させます。


ぶちゃけ話やノロケ話、過去の恋愛遍歴などをカクテルを楽しみつつワイワイ女性同士で気兼ねなく語ってるんだろうな、きっとある程度社会人経験も積み一方で可愛らしさを持つ魅力的な大人の女性たちなんだろうな、などと食卓を囲む人々の姿を思わず想像してしまいました。


こういうイマジネーションをかき立てられる作品ってパワーがあって好きだなぁ。


テーブルウエア大賞コーディネート部門の服部幸應審査員奨励賞を受賞した作品だそうですが、服部幸應さんのコメントに、

現在の肉食系の女性達が集うシャンペニューパーティの風景が目に映る。女性達のつぶやきが聞こえてきそう。そんなコンセプトこそ今の時代を表現しているようである。

とあって笑いました。「肉食系女子」か!確かに〜w






抹茶色と和の世界のコーディネート


同じくコーディネート部門の作品のこちらは、しっとりとした和の世界のテーブルでした。


タイトルが「桃の節句に〜あらためて祈りながら〜」とのことなので、娘さんかお孫さんの成長を祝う席をイメージしているのでしょうね。晴れやかな雰囲気の中にも、なんだかとてもリラックスして食事が出来そうな落ち着きがありました。


ナフキンの置き方も抹茶色が綺麗に見えていいなぁ。貝殻の箸置きも素敵だなー。



ちなみに、これらコーディネート部門入選作品のテーブル展示は、このテーブルウェア・フェスティバルの大きな見せ場でもあります。力作がずらりと並んでおり、大変見ごたえがありました。


面白いのが、‘娘の彼氏をはじめて招いた食事’だとか、‘父の還暦祝い’‘嫁ぐ娘と囲む最後の食卓’など食卓の状況が具体的に想定されており、それに沿ったテーブル・セッティングがなされていること。いかにテーマを明確に表現し心地よい空間を作っているのか、が見ている側にも伝わってきて楽しいです。






透ける模様の美しいガラス


国内外を問わず数多くの食器メーカーがブースを出していましたが、こちらは北海道小樽の硝子メーカー、北一硝子の出展作品です。
なんとも言えない深い色合いの器の美しさに惹かれました。凄いなぁ。これ、ガラスなんだよね。


重ね色目を思わせる紙のすっきりとしたテーブルクロスも器を引き立てていて良かったです。



模様はブドウでしょうか?なんとなく晩夏〜秋にかけての季節に特に似合いそうな食器だと思います。
渋くて落ち着いた魅力のある作品でした。






伊万里鍋島焼


こちらは畑萬陶苑の窯元、伊万里鍋島焼の作品。
綺麗な空色が素敵です。桜もほんのりとした優しい色使いで、春らしさが出ていました。
写真には写っていませんが近くに桜の木を模した枝がセッティングされており、こんな器でお花見できたら楽しいだろうなぁと思いました。



清水焼


緋毛氈によく映えているこちらの作品は、京都の陶花堂の清水焼きだそうです。
白をベースに赤と金でモチーフの桜を描いています。やはり職人さんが一枚一枚花びらを描いていったのかな?
お皿も可愛らしいですが、お重の愛らしさにはグッときました。すっきりとした美しさと華やかさを併せ持つデザインで、咲いた桜への喜ばしさを感じます。





ホワイトとローズピンクの器


海外の食器メーカーも多数出展していました。その中の一つが、イギリスの陶磁器メーカー、エインズレイ(Aynsley)です。
イギリスらしさを感じさせる食器で、ローズピンクの愛らしさとマッチしています。





お花が可愛い


デンマークの陶磁器メーカー、ロイヤルコペンハーゲン(The Royal Copenhagen Manufactory)の出展作品。



名高い食器メーカーだそうですが、実は食器そのものより、コーディネートされたテーブル・フラワーのほうが印象深かったり。こういうカラフルなお花があると食卓がパッと明るくなりますよね。背の高さもちょうど良くて可愛いなぁ。やっぱりお花は大事だな。




和風の器



オリジナルデザイン部門のコンテスト作品で一際惹きつけられたのが「花うつし」というタイトルのこちらのガラス器。柔らかい色も良いし、何よりデザインが粋ですね。
ガラス彫刻作家、元木庸子さんの作品です。





オリーブのような


こちらのガラス器も綺麗でした。曲線がなんともいえず美しく、光沢も素晴らしいです。


色といい形といいなんとなくオリーブを連想する器だなぁと思ってみていたら、まさしくタイトルも「『OLIVA』(オリーブの実)」とありました。


テーブルウェア大賞オリジナルデザイン部門アマチュアの部の作品とのことですが、アマチュアでこれほどのものを作れちゃうなんて凄すぎだ……! 




まとめ



この催しは写真撮影可とのことなので、お言葉に甘えてたくさん写真を撮ってきました。ブログにUPしたのはそのうちの一部分だけで、本当はもっとたくさん撮影してあります。


その写真を見返すとつくづく思うけど、みなさん本当にセンス良すぎ……!!お洒落だー!!



テーブルウェア・フェスティバルの主役はテーブル・コーディネートや器そのものなので、当たり前ですが料理は無しと言うのが前提で展示されています。この状態でも、一幅の絵のように完成された空間を作り上げられているのが、面白いですね。


ただ、コーディネート部門の場合はキャプションに、料理が盛り付けられている状態でコーディネートした審査時の写真が載っています。やはり食卓というのは美味しい料理あってこそとも思うので、興味深く見ました。


今回は、趣味と実益を兼ねて数年前から見に行っていた母に「すごいから絶対おいで!」と誘われたのがきっかけで行ってきたのですが、もし誘われなかったら、このような催しがあったと知らないままだったかもしれないなぁ。


とても刺激的で面白かったので、連れて行ってもらえて良かったです。

*1:来場者について。年齢層はわりと高め。割れやすい食器も数多く展示されているフェスティバルだからこそなのでしょう、小さな子どもの姿はほとんど見かけませんでした。男性よりも、女性の方が圧倒的に多かったです。なんとなく裕福そうな方が多かったように見えたのは、気のせいでしょうか。テーブル・コーディネートはお金のかかる趣味だろうしなー